2026.06.17 環境問題

今起きている環境問題10選|種類・原因・被害を一覧で解説

地球温暖化、海洋汚染、森林破壊——環境問題と一口に言っても、その種類は多岐にわたります。どれも「遠い話」に聞こえるかもしれませんが、私たちの食卓、健康、気候に深くつながっています。
この記事では、今まさに起きている環境問題10選を、原因と被害とともに一覧でわかりやすく解説します。

第1章 環境問題とは?地球が今、直面していること

「環境問題」という言葉は毎日のように目にするのに、何がどう起きているのかはつかみにくい——そう感じている人は多いと思います。

そもそも環境問題とは、人間の活動が原因で自然環境が変化し、生態系や人の暮らしに悪影響が及ぶ問題の総称です。その規模は、数字で見るとより実感しやすくなります。

毎月の収入が10万円なのに、毎月17万円使い続けているような状態——今の地球はこれに近い状況です。地球が1年間で自然に作り出せる資源より、私たちは1.7倍多く使っているのです。足りない分は、地球の「貯金」を取り崩すことでまかなっています。具体的には、森林を削り、地下水を汲み上げ、土壌を疲弊させながら、です。日本人の場合は、地球が1年間で作り出せる資源の約2.7倍もの資源を消費していると試算されています。

食料、水、気候、健康——環境問題は「どこか遠い場所の話」ではなく、私たちの日常に直結しています。まずは今、何が起きているかを一つひとつ見ていきましょう。

※出典:環境省『令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』

第2章 現在起きている環境問題を10項目で解説

地球上で同時進行している10の環境問題を整理します。それぞれの原因と被害の概要を見ていきましょう。

2-1 ①地球温暖化・気候変動

二酸化炭素(CO₂)やメタンなどの温室効果ガスが大気中に増え、地球全体の気温が上昇しています。

  • 主な原因:石炭・石油などの化石燃料の燃焼、工場排気、農畜産業からの排出
  • 主な被害:異常気象(大雨・干ばつ・熱波)の頻発、海面上昇、農作物の収量低下、熱中症リスクの増加

2024年の世界年平均気温は産業革命以前より約1.55℃上昇し、観測史上最高となりました(※1)。日本でも2023年の夏の熱中症救急搬送は、調査開始以降2番目に多い件数を記録しています(※2)。

「気温が少し上がっただけ」ではなく、すでに命に関わるレベルの問題になっています。

※1出典:WMO|世界気候の現状2024(2025年1月)
※2出典:環境省『令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』

2-2 ②海洋汚染・プラスチック問題

海洋に流れ込むプラスチックごみのイメージ

海には、プラスチックごみをはじめ、油や化学物質など多くの汚染物質が流れ込んでいます。

  • 主な原因:プラスチック製品の過剰消費と不適切な廃棄、工場・船舶からの排水
  • 主な被害:海洋生物の誤飲・死亡、食物連鎖を通じた人体への影響、漁業被害、海岸・景観の損失

毎分トラック1台分のプラスチックが海に流れ込んでいると試算されています。2050年には海の中のプラスチックの量が魚の量を超えるという予測もあります。また、2019年時点の世界のプラスチック廃棄物は3億5,300万トンで、このまま推移すると2060年には約10億1,400万トン(約3倍)に増える見込みです(※1)。

マイクロプラスチックは、すでに人間の血液や肺からも検出されています。海の問題は、回りまわって私たちの体の問題にもなっているのです。

※1出典:エレン・マッカーサー財団・世界経済フォーラム(WEF)『The New Plastics Economy』(2016年)OECD『Global Plastics Outlook』(2022年)

2-3 ③森林破壊・熱帯雨林の減少

伐採された森林のイメージ

世界各地の森林が、農地開発や違法伐採によって急速に失われています。

  • 主な原因:牛肉・大豆・パーム油の生産のための農地開拓、違法伐採、森林火災
  • 主な被害:CO₂吸収源の喪失、生物の生息地消滅、土砂崩れ・洪水リスクの増大

2024年、世界の樹木被覆損失は3,000万ヘクタールに達し、過去最高を更新したとされています(前年比5%増)。特に深刻なのが熱帯原生林の消失で、2024年の消失面積は670万ヘクタール——パナマの国土とほぼ同じ広さが、たった1年で永久に失われたことになります。熱帯原生林の消失ペースは毎分サッカーコート18面分に相当し、2023年のほぼ2倍とされています(※1)。

※1出典:Global Forest Watch / World Resources Institute『Forest Pulse 2024』(2025年)

2-4 ④生物多様性の損失・絶滅危惧種

地球上の生物の多様性が急速に失われ、「第6の大量絶滅時代」とも呼ばれる状況になっています。

  • 主な原因:生息地の破壊、気候変動、外来種の侵入、乱獲
  • 主な被害:生態系のバランス崩壊、食料・医薬品資源の喪失、農業への打撃(受粉昆虫の減少など)

IUCNレッドリストでは、絶滅危惧種の合計が46,337種に達しているとされており、地球上の生物のおよそ5種に1種が絶滅の危機に瀕していると試算されています(※1)。

この背景にあるのは、生き物が暮らせる場所の急速な消失です。世界の陸地の約75%はすでに人間の活動によって姿を変え、海洋の66%も汚染や乱獲などの影響を受けています(※2)。住む場所を失った生き物が、絶滅へと追い込まれています。

※1出典:環境省『令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』
※2出典:IPBES『Global Assessment Report on Biodiversity and Ecosystem Services』(2019年)

2-5 ⑤大気汚染

工場や自動車から排出される有害物質が大気に混じり、健康や生態系に悪影響を与えています。

  • 主な原因:石炭・石油の燃焼による排煙、自動車の排気ガス、農業由来のアンモニア
  • 主な被害:呼吸器疾患・肺がんのリスク増加、農作物の生育阻害、建造物の腐食

WHOによると、室内外の大気汚染が原因で亡くなる人は、世界で年間約670万人とされています(※1)。これは交通事故の死者数をはるかに上回る数字です。

その主な原因の一つが、微小粒子状物質(PM2.5)です。髪の毛の太さの約30分の1という小ささで、肺の奥深くまで入り込みます。目に見えないため、気づかないうちに吸い込んでいることも少なくありません。

こうした大気汚染物質の多くは、国境を越えて移動します。PM2.5は偏西風に乗って東アジアから日本に到達することがあり、硫黄酸化物(SO₂)や窒素酸化物(NOₓ)も越境して酸性雨を引き起こします(詳しくは⑦酸性雨を参照)。発生源が国外にある以上、一国だけの取り組みでは解決しにくく、国際的な連携が不可欠です。

※1出典:WHO|環境(屋外)大気汚染ファクトシート

2-6 ⑥水不足・水質汚染

世界では、安全な水を入手できない人がいまも6億6,300万人ほどいるとされています(※1)。

  • 主な原因:工業排水・農薬による汚染、気候変動による降水パターンの変化、人口増加と都市化による過剰な取水
  • 主な被害:飲料水不足、食料生産の停滞、水が原因の感染症による死亡

汚染された水による下痢で、毎日800人以上、年間では30万人以上の乳幼児が命を落としているとされています。被害が特に深刻なのは、安全な水へのアクセスが限られたサハラ以南のアフリカや南アジアの地域です。日本にいる私たちには直接見えにくい現実ですが、今この瞬間も続いています(※2出典:UNICEF・WHO共同報告書)。

※1出典:環境省『令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』

2-7 ⑦酸性雨

酸性雨のイメージ

工場や発電所から放出された硫黄酸化物・窒素酸化物が大気中の水分と反応して酸性の物質に変わり、雨や雪として地上に降り注ぐ現象です。

  • 主な原因:化石燃料の燃焼による硫黄酸化物(SO₂)・窒素酸化物(NOₓ)の排出
  • 主な被害:森林の枯死、湖沼の酸性化(魚類の死滅)、歴史的建造物・文化財の腐食

酸性雨が降り続いた湖では、魚が住めなくなります。ヨーロッパでは1970〜80年代に何千もの湖が「死の湖」と呼ばれる状態になりました。森林も同様で、土壌が酸性化すると木が栄養を吸収できなくなり、立ち枯れが広がります。たとえばドイツでは1980年代、国内の森林の半分以上が酸性雨による被害を受けたという報告があります。

日本でも、屋久島など国内の森林への影響が指摘されています。中国大陸からの越境汚染が一因とみられており、これは⑤の「大気汚染」と原因を共有する問題です。発生源が国外にある以上、国内だけで対策を完結させることができない点も、この問題の難しさの一つです。

2-8 ⑧オゾン層の破壊

地球を有害な紫外線から守るオゾン層が、フロン類などの化学物質によって破壊されています。

  • 主な原因:エアコンや冷蔵庫などに使われたフロン類(CFC)の大気中への放出
  • 主な被害:有害な紫外線(UV-B)の増加による皮膚がん・白内障リスクの上昇、植物や海洋生態系へのダメージ

オゾン層が薄くなった分だけ、有害な紫外線(UV-B)が地上に届く量が増えます。その結果として懸念されるのが皮膚がんや白内障のリスク上昇。南極上空には「オゾンホール」と呼ばれる巨大な穴が生まれ、2021年には南極大陸の約1.8倍の面積に達したとされています。破壊がいかに広範囲に及んでいるかを示す数字です。

1987年のモントリオール議定書以降、フロン類の規制が進み、オゾン層は緩やかな回復傾向にあります。UNEPの試算では、この規制によって2030年までに年間約200万件の皮膚がんを防げるとされており、国際的な取り組みが実際に機能した数少ない成功例の一つです(※1)。ただし、南極上空が1980年ごろの状態に戻るのは21世紀半ば以降と予測されており、完全な回復にはまだ数十年単位の時間が必要です。

※1出典:UNEP『Protect our Earth Save the Ozone Layer』

2-9 ⑨砂漠化・土地劣化

砂漠化が進んだ土地のイメージ

農地や草地が、砂漠のように植物が育たない土地へ変わっていく現象です。

  • 主な原因:過剰放牧・過剰耕作による土壌の疲弊、気候変動による乾燥化、不適切な灌漑
  • 主な被害:農地の喪失、食糧不足、砂嵐(黄砂)の激化、生活基盤を失った人々の移住・難民化

国連環境計画(UNEP)によると、世界の陸地の約4分の1が砂漠化・土地劣化の影響を受けています。毎年、日本の国土面積とほぼ同じ広さの土地が新たに失われていると試算されており、アフリカのサヘル地帯や中央アジアでは農地を失った人々が他の地域へ移動せざるを得ない状況も生まれています。

砂漠化した土地では作物が育たず、食料不足が深刻化します。2050年には世界人口が約100億人に達すると予測される中、農地の喪失は食料安全保障に直結する問題です。また中国やモンゴルの砂漠化が進むと、偏西風に乗って日本に飛来する黄砂が増え、健康被害や農業への影響も懸念されます。砂漠化は遠い地域だけの話ではありません。

2-10 ⑩化学物質・有害廃棄物汚染

工業化学物質や有害廃棄物が土壌・水・大気を汚染し、世界規模で拡散しています。

  • 主な原因:農薬・殺虫剤の過剰使用、工場廃液の不法投棄、廃棄物の国境を越えた移動
  • 主な被害:発がん・生殖障害・神経障害などの健康被害、土壌・水の長期汚染、生態系への蓄積(生体濃縮)

「難分解性・高蓄積性」の化学物質は自然に分解されにくく、食物連鎖を通じて濃縮されていきます。小魚を大きな魚が食べ、その大きな魚をさらに大きな生き物が食べる——その連鎖を経るたびに、汚染物質は体内で濃縮されます。小魚を大量に食べるマグロや、海の頂点捕食者であるシャチからは、高濃度の水銀やPCBが検出されることが知られています。

汚染は、使用された場所にとどまりません。人が住まない北極圏のホッキョクグマや南極のペンギンからも、PCBやDDTなどの有害化学物質が検出されています。私たちが遠い場所で使った化学物質が、地球の果てにまで届いている。環境省も、こうした物質によるグローバルな汚染の深刻化を指摘しています(※1)。

※1出典:環境省『令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』

第3章 環境問題はなぜ連鎖的に深刻化するのか

環境問題が連鎖するイメージ

ここまで10の問題を個別に見てきましたが、実際にはそれぞれが複雑に絡み合っています。

たとえば、地球温暖化が進むと、干ばつや高温で森林火災が起きやすくなります。森林が失われると、CO₂を吸収する力が弱まり、温暖化がさらに加速します。同時に、多くの生物が生息地を失い、絶滅危惧種が増えます。

水不足が深刻になると、農業用水を確保するために森林が伐採されることもあります。農地を広げるための焼き畑は、大気汚染を引き起こします。

一つの問題を放置すると、他の問題がより悪化します。環境問題が「後回しにできない」と言われる理由は、ここにあります。

第4章 よくある質問(FAQ)

Q1. 環境問題の中で最も深刻なものはどれですか?

A. 世界経済フォーラム(WEF)の「グローバルリスク報告書2024」では、今後10年間で人類が直面する最も深刻なリスクの上位4位までが、すべて環境問題とされています(1位:異常気象、2位:気候変動の臨界点、3位:生物多様性の喪失、4位:天然資源の枯渇)。それほど、環境問題全体が深刻な状況にあります。ただし各問題は互いに連鎖しているため、「これが一番」と順位をつけることは難しく、どれか一つを解決すれば済む話でもありません。

Q2. 環境問題はいつから始まったのですか?

現代的な環境問題は、19世紀の産業革命以降に本格化しました。特に1950〜60年代、戦後の経済成長とともに工業化が世界規模で加速し、大気汚染・水質汚染・化学物質汚染などの公害が各地で顕在化しました。1972年の国連人間環境会議(ストックホルム会議)は、世界が環境問題を共通課題として初めて正面から議論した場であり、国際的な取り組みの出発点とされています。

Q3. 日本は環境問題にどんな影響を受けていますか?

A.気候変動の影響はすでに日常の中に現れています。記録的な豪雨、猛暑の長期化、農作物の収量・品質の低下——いずれも気候変動との関連が指摘されています。環境省『令和6年版環境白書』によると、2023年夏の熱中症救急搬送は調査開始以降2番目に多い件数を記録。海洋プラスチックについては、日本近海でも深刻な漂着ごみの問題が続いており、大気汚染では中国大陸からの越境汚染(PM2.5・黄砂)の影響も受けています。

Q4. 化学物質汚染は、なぜ世界規模で広がるのですか?

A.難分解性の化学物質は、水や大気に乗って発生源から遠く離れた場所まで拡散します。さらに食物連鎖を通じて濃縮される「生体濃縮」という性質があるため、人が住まない北極圏の生き物からも高濃度の有害物質が検出されるほど、汚染は広範囲に及んでいます。加えて、先進国から発展途上国に輸出された廃棄物が現地で不適切に処理され、新たな汚染源になるケースも後を絶ちません。汚染は「使った場所」で完結せず、地球全体に広がっていきます。

Q5. 砂漠化は日本にも関係しますか?

A.国内で砂漠化が起きているわけではありませんが、無関係とも言えません。中国やモンゴルの砂漠化が進むほど、偏西風に乗って日本に飛来する黄砂が増えます。黄砂は呼吸器疾患のリスクを高めるほか、農作物や精密機器への影響も報告されています。また、日本は食料の多くを輸入に頼っているため、砂漠化による世界的な農地の喪失は、食料安全保障の問題として日本にも直結します。

第5章 まとめ

緑豊かな自然のイメージ

今回紹介したどの環境問題も、根本には「大量生産・大量消費を前提とした社会のしくみ」があります。

問題を「知る」ことは、具体的な選択や行動を考える出発点です。気になった問題については、さらに深掘りしてみることをおすすめします。たとえば「海洋プラスチック」に関心があれば、自分が使うプラスチックの量を一週間記録してみるだけで、新しい発見があります。

この記事が、環境問題を自分ごととして捉えるきっかけになれば幸いです。

グリーンアライアンス事務局

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