2026.08.13 くらし

エアコンの節電は温度設定がカギ!冷房と除湿、電気代が安いのはどっち?

「設定温度を上げればいいのはわかるけど、何度にすればいいの?」「除湿にしたほうが節電になるのでは?」猛暑の続くこの季節、エアコンの使い方に困ってはいませんか?夏場の家庭で電力消費の大きな割合を占める家電だからこそ、ポイントはしっかりおさえておきたいところです。

この記事では、設定温度と消費電力の関係から、シーン別の最適温度まで、実測データをもとにお答えします。今日から実践できる「エアコンの正しい使い方」を見ていきましょう!

【この記事でわかること】

  • ・エアコンの節電に「温度設定」がもっとも効く理由
  • ・冷房と除湿(弱冷房除湿・再熱除湿)、電気代が安いのはどちら
  • ・シーン別・エアコンの最適な設定温度の目安
  • ・温度設定以外に見直したい節電のポイント

第1章 エアコンの節電、なぜ「温度」がいちばん効くのか

エアコンの節電術にはさまざまな方法がありますが、そのなかでも「温度設定」がもっとも効果の大きいポイントです。まずは、その理由を仕組みから見ていきましょう。

1-1 消費電力は「外気温と設定温度の差」で決まる仕組み

エアコンは、室温を設定温度まで下げるために圧縮機(コンプレッサー)を稼働させて冷媒を循環させています。このとき、外気温と設定温度の差が大きいほど、コンプレッサーはより多くの電力を使って稼働することになります。

つまり、猛暑日に設定温度を極端に下げるほど、消費電力は跳ね上がりやすいということです。逆に言えば、設定温度をわずかに上げるだけでも、コンプレッサーの負荷が減り、消費電力を抑えられるのです。

1-2 1℃の違いがもたらす影響

外気温31℃の条件では、冷房時の設定温度を27℃から28℃へ1℃上げることで、年間約30.24kWh(約940円)の省エネになるという試算があり(※)、 積み重なると年間で数千円単位の差になることもあります。以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

この記事では、1℃の差そのものよりも、その効果を最大限に引き出すための「もうひとつの要因」に注目します。

※出典:資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」

1-3 設定温度を活かすカギは「風量」

意外と見落とされがちなのが、風量の設定です。風量を「自動」にしておくと、運転開始直後は強風で一気に室温を設定温度まで近づけ、設定温度に到達したあとは風量を弱めて維持するという制御が働きます。

一方で、風量を「弱」に固定していると、なかなか設定温度に到達しません。この間もコンプレッサーは稼働し続けるため、かえって消費電力がかさんでしまうこともあります。

つまり、「何℃に設定するか」だけでなく、「その温度に効率よく到達させるための風量設定」も、節電効果を左右する重要な要素なのです。「風量は自動にしておくのが基本」と覚えておきましょう。

第2章 冷房と除湿、電気代が高いのはどっち?

ここでは「蒸し暑い日は冷房と除湿、どちらを使えば節電になるのか」という疑問に答えていきます。

2-1 弱冷房除湿・再熱除湿・ハイブリッド除湿の仕組みの違い

弱冷房除湿・再熱除湿・ハイブリッド除湿の仕組みの違い

エアコンの除湿機能には、主に以下の方式があります。

  • 弱冷房除湿:取り込んだ空気を軽く冷やし、水分を排出してから室内に戻す方式です。冷房と似た仕組みで、風量を抑えて運転するため、室温もある程度下がります。
  • 再熱除湿:一度冷やして湿気を取り除いた空気を、再び温めてから室内に戻す方式です。室温を下げすぎずに湿度だけを下げたいときに向いていますが、空気を温め直す工程がある分、電力を余計に使うことになります。
  • ハイブリッド除湿:弱冷房除湿と再熱除湿を、室温や湿度の状況に応じて自動で切り替える方式です。メーカーや機種によって制御方法は異なりますが、「室温を下げすぎない」「消費電力も抑えたい」という両方のニーズに応えることを目指した方式といえます(注1)。

なお、市場に出回っている多くの機種は弱冷房除湿です。「除湿」ボタンが1種類しかない場合は、弱冷房除湿のみを搭載した機種である可能性が高いといえます。ただし、 一部の上位機種には再熱除湿も搭載されており、リモコン上で方式を選べるようになっています。自宅のエアコンがどちらのタイプかを知りたい場合は、型番で検索してメーカーの製品ページを確認するか、取扱説明書の「除湿」の項目を見るのが確実です。

(注1)ハイブリッド除湿の呼び方や制御ロジックはメーカー・機種によって差があるため、自宅のエアコンがどの方式に該当するかは、取扱説明書やメーカーの製品ページでの確認をおすすめします。

2-2 消費電力を比較する

冷房や除湿の消費電力は、運転モードや外気温、設定温度などの条件によって変わります。ここでは一般的な傾向を紹介します。

  • 弱冷房除湿:冷房に近い仕組みで、空気を温め直す工程がないため、消費電力を比較的抑えやすい方式です。
  • 再熱除湿:「冷やしてから、もう一度温め直す」という工程が加わるため、4つの方式の中では消費電力が大きくなりやすい方式です。
  • ハイブリッド除湿:室温や湿度の状況に応じて弱冷房除湿・再熱除湿を自動で切り替えるため、消費電力も運転状況によって変わります。
  • 冷房:消費電力は、外気温や設定温度、湿度などの条件によって変わります。弱冷房除湿と同程度になる場合もあれば、それより少なくなる場合や多くなる場合もあり、一概にどちらが省エネとはいえません。

このように「除湿だから必ず安い」「冷房だから必ず高い」と一概には言えないのです。また、これはあくまで「仕組み上そうなりやすい」という傾向であり、実際の電気代は、室温と設定温度の差や部屋の広さ、機種の性能によっても変わってくることを覚えておきましょう。

2-3 結局どう使い分ける?

仕組みの違いを踏まえると、使い分けの目安は次のようになります。

  • 室温を下げたい蒸し暑い夜:「弱冷房除湿」が消費電力を抑えやすい傾向があります。
  • 室温を下げすぎたくない梅雨時や、来客時に肌寒くさせたくない場面:「再熱除湿」が快適。ただし、電気代は高めと心得ておく必要があります。
  • とにかく室温を早く下げたい猛暑日:「冷房」が基本。無理に除湿で代用すると、かえって時間がかかり非効率になることもあります。

「除湿にすれば節電できる」という思い込みだけで使い分けるのではなく、方式ごとの仕組みを理解したうえで、そのときの体感や目的に合わせて選ぶことが大切です。

第3章 シーン別・エアコンの最適温度設定

シーン別・エアコンの最適温度設定

温度設定と風量、冷房・除湿の使い分けがわかったところで、ここからは実際の生活シーンに落とし込んでみましょう。基本的に「冷房」運転を前提としていますが、除湿を使う場面については第2章の使い分けを参考にしてください。

3-1 日中在宅時・リモートワーク時

長時間同じ室温で過ごすことが多いため、無理のない範囲でやや高めの設定温度を意識しましょう。設定温度を下げすぎず、風量は自動にしておくことで、効率よく快適な室温を維持できます。

3-2 就寝時

就寝時は体温が下がりやすいため、日中よりもやや高めの設定にするか、おやすみ運転やタイマー機能を活用し、室温が上がりすぎないよう調整しましょう。

3-3 来客時・体調に配慮したいとき

来客時や、体調がすぐれない家族がいるときは、無理に設定温度を高くする必要はありません。冷えすぎが気になる場合は、再熱除湿を選択肢に入れるのもひとつの方法です。場面に応じて、節電と快適さのバランスを上手にとりましょう。

3-4 体感温度を下げて設定温度を上げるコツ

設定温度を上げても快適に過ごすには、体感温度を下げる工夫を組み合わせるのが効果的です。

  • サーキュレーターや扇風機を併用し、部屋全体に冷気を循環させる
  • 遮熱カーテンやすだれで、窓から入る日差しを遮る
  • 湿度を下げることで体感温度を下げる

これらを組み合わせれば、設定温度を無理に下げなくても十分涼しく感じられるようになります。

第4章 温度設定と合わせて見直したいポイント

温度設定や風量の工夫と合わせて、エアコンの設置環境そのものを見直すことでも節電効果が期待できます。

4-1 室外機の設置環境

室外機が直射日光を受け続けると、周辺の温度が上がり、放熱効率が落ちてしまいます。日除けを設置したり、風通しのよい場所に設置したりするだけで、余計な電力を使わずに済むことがあります。ただし、吹き出し口をふさいでしまうと逆効果になるため、風の通り道は必ず確保しましょう。

4-2 部屋の断熱・気密性

窓からの熱の出入りは、部屋の温度に大きく影響します。断熱カーテンや窓用の断熱シートを取り入れるだけでも、冷気が逃げにくくなり、エアコンの負荷を減らせます。

なお、フィルター掃除や風向きの調整といった基本的な節電術については、以下の記事でも詳しく紹介しています。

第5章 よくある質問(FAQ)

Q1. エアコンの設定温度は何度がベストですか?

A. 一概に「この温度が正解」とは言えませんが、無理のない範囲でやや高めの設定を意識し、風量を自動にしておくことが節電のポイントです。体感温度はサーキュレーターの併用などでも調整できます。

Q2. 除湿にすれば必ず節電になりますか?

A. 一概には言えません。弱冷房除湿は消費電力を抑えやすい一方、再熱除湿は空気を温め直す工程がある分、冷房より電気代が高くなる場合もあります。自宅のエアコンがどちらの除湿方式かを確認しておくとよいでしょう。

Q3. 風量は「自動」と「弱」、どちらが節電になりますか?

A. 基本的には「自動」がおすすめです。設定温度に効率よく到達したあとは風量が弱まる仕組みになっているため、手動で「弱」に固定するよりも無駄なく運転できます。

Q4. 弱冷房除湿と再熱除湿、自宅のエアコンがどちらか確認する方法はありますか?

A. 多くの場合、取扱説明書やメーカーの製品ページに記載されています。除湿運転時に室温が下がりやすい場合は弱冷房除湿、室温があまり変わらない場合は再熱除湿の可能性がありますが、これはあくまで目安です。正確には型番をもとにメーカーの公式サイトや取扱説明書で確認しましょう。

Q5. 猛暑日に除湿だけで乗り切ることはできますか?

A. 室温がかなり高い日は、除湿だけでは室温が十分に下がらず、かえって非効率になることがあります。まずは冷房でしっかり室温を下げ、快適な範囲に落ち着いてから除湿に切り替えるのがおすすめです。

第6章 まとめ

エアコンの節電は、設定温度を見直すことに加え、風量を自動にして、効率よく室温を設定温度に近づけることがポイントです。 さらに、冷房と除湿の仕組みの違いを理解しておけば、「なんとなく除湿にする」のではなく、目的に合った使い分けができるようになります。

暑い夏、無理な我慢は禁物です。サーキュレーターや遮熱カーテンなどを組み合わせながら、体調を崩さない範囲で、今日からできる節電を積み重ねていきましょう。

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