2026.09.01 エネルギー

バイオマス発電とは?生ごみや木くずが電気になる仕組みとメリット・デメリット

「バイオマス発電」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、その正体は生ごみや家畜のふん尿、木くずといった生物資源を電気に変える技術です。本来は捨てられるはずだったものをエネルギーに変えられる一方で、コストや燃料調達の面で課題も指摘されています。この記事では、バイオマス発電の仕組みから、メリット・デメリットまでを一次情報をもとに整理しました。

この記事でわかること

  • ・バイオマス発電が「ごみを電気に変える」仕組み
  • ・燃焼・ガス化・発酵という3つの発電方式の違い
  • ・バイオマス発電のメリットと、コスト・燃料調達などのデメリット
  • ・日本国内での導入状況と今後の課題

第1章 バイオマス発電の基本的なしくみ

バイオマス発電とは、動植物などから生まれた生物資源(バイオマス)を燃料として利用する発電方法です。木くずや生ごみ、家畜のふん尿といった生物資源を「直接燃焼」させたり「ガス化」したり、発酵によってバイオガスを取り出したりすることで、発電機を動かします(※) 。

バイオマス発電のポイントは、光合成によってCO₂を吸収して成長した生物資源を燃料として利用することです。バイオマスを燃焼すればCO₂は排出されますが、植物が成長過程で吸収したCO₂に由来するものとして、温室効果ガス排出量の算定では、化石燃料由来のCO₂とは区別して扱われます(※1)。 「廃棄されていた生物由来の資源」が単なる廃棄物ではなく、エネルギーに生まれ変わる、これがバイオマス発電の基本的な考え方です。

なお、バイオマスを含む再生可能エネルギーの全体像については、以下の記事をご覧ください。

※出典:資源エネルギー庁「バイオマス発電|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー」

第2章 バイオマス発電の3つの発電方式

バイオマス発電は、原料の性質に応じて大きく3つの方式に分かれます。

2-1 直接燃焼方式

バイオマスをそのままボイラーで燃やし、発生した蒸気でタービンを回す方式です。もっとも歴史が古く、木質チップなど乾燥した燃料に適しています。構造がシンプルな分、大型設備に採用されやすいのが特徴です。

2-2 熱分解ガス化方式

バイオマスを燃焼させず加熱することで、可燃性ガスを取り出す方式です。木質のウッドチップやウッドペレットなど、乾燥系のバイオマスに適しており、ガスタービンやガスエンジンで発電します(※)。

2-3 生物化学的ガス化方式(メタン発酵)

家畜のふん尿や下水汚泥、食品廃棄物などを気密性の高い発酵槽に入れ、微生物によって嫌気性発酵させることでメタンなどのガス(バイオガス)を取り出す方式です。水分を多く含み、そのままでは燃えにくい生ごみのような湿潤系バイオマスも、この方式なら燃料として活用できます(※)。

※出典:一般社団法人バイオマス発電事業者協会「バイオマス発電情報」

第3章 バイオマス発電の原料の種類

バイオマス発電に利用されている資源は、木材由来のものだけではありません。家畜のふん尿や食品廃棄物、下水汚泥、稲わらなど、私たちの暮らしや農林業から生まれるさまざまな有機資源が燃料になります。ここでは、バイオマス発電に利用される代表的な原料について見ていきましょう。

3-1 木質バイオマス(林地残材・製材廃材)

間伐材や製材工場から出る端材など、林業・木材産業に由来するバイオマスです。主に未利用木材を使用する木質バイオマス発電施設は全国で328か所の認定が有効で、うち136か所が稼働しています(令和6年3月末時点)(※1)。

3-2 廃棄物系バイオマス(家畜排せつ物・食品廃棄物・下水汚泥)

家畜排せつ物や食品廃棄物、下水汚泥といった、私たちの暮らしや畜産業から発生する有機廃棄物も、重要な原料の一つです。家畜排せつ物は年間約7,800万トン発生しており、容積に換算すると東京ドーム約75個分にのぼります(※2)。

こうした有機廃棄物がなぜ環境汚染の原因になりうるのか、詳しくは「有機廃棄物による環境汚染はなぜ起きる?原因と家庭・企業でできる対策10選」でも解説していますので、あわせてご覧ください。

3-3 エネルギー作物・農業残渣

稲わらやもみ殻といった農業残渣、あるいはエネルギー生産を目的として栽培される作物も、バイオマス発電の原料になります(※3)。地域の農業と連携しやすく、エネルギーの地産地消につながる原料として位置づけられています。

※1出典:林野庁「木質バイオマスエネルギーの利用推進について」
※2出典:農林水産省「家畜排せつ物の発生と管理の状況」
※3出典:資源エネルギー庁「バイオマス発電|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー」

第4章 バイオマス発電のメリット

バイオマス発電のメリット

4-1 廃棄物を資源として活用できる

バイオマス発電の大きなメリットは、これまで廃棄物として処理されていた資源を、エネルギーとして有効活用できることです。

たとえば、食品廃棄物や家畜排せつ物、木材加工時に発生する端材などは、適切な処理を行うことで発電用の燃料になります。特にメタン発酵では、生ごみや家畜のふん尿など、水分が多くそのままでは燃えにくい資源からバイオガスを取り出して発電できます。

つまり、バイオマス発電は「電気をつくる」だけでなく、「廃棄物を資源に変える」という役割も担っているのです。

実際に、宮城県仙台市の食品廃棄物等を利用する施設では、1日約40トンの廃棄物を処理し、年間約6,500MWhを発電しています。これは一般家庭約1,500世帯分に相当します。さらに、発酵後に残る消化液を肥料として農業に利用するなど、電気と肥料の両方を生み出す資源循環にも取り組んでいます(※)。

※出典:農林水産省「食品廃棄物等によるメタン発酵バイオガス発電」

4-2 天候に左右されにくく、安定した発電がしやすい

太陽光発電は日射量、風力発電は風況によって発電量が変化します。一方、バイオマス発電は、燃料を安定的に確保できれば、燃料の投入量を調整しながら発電できるという特徴があります。そのため、太陽光や風力とは異なる特性を持つ再生可能エネルギーとして、電力供給を支える役割が期待されています。

ただし、バイオマス発電も「いつでも無条件に発電できる」というわけではありません。燃料の調達が滞れば発電を継続できないため、安定した燃料供給体制の構築が重要になります。

4-3 地域の資源を活用し、地域循環につなげられる

バイオマス資源は、森林や農地、畜産施設、食品工場など、地域のさまざまな場所から発生します。こうした地域資源を地域内で収集・加工・エネルギー化することで、廃棄物処理とエネルギー供給を組み合わせた地域循環につなげられる可能性があります。

たとえば木質バイオマスでは、地域の森林から発生する未利用材などを燃料として活用することで、森林資源の有効利用とエネルギー利用を組み合わせることができます。

一方で、資源を遠方から大量に運搬すると輸送コストや温室効果ガス排出量が増える可能性もあります。そのため、バイオマス発電では「地域にどのような資源があるか」「どの程度の量を継続的に確保できるか」という視点も重要です。

第5章 バイオマス発電のデメリット・課題

バイオマス発電は、廃棄物や未利用資源をエネルギーとして活用できる一方、燃料を継続的に確保しなければならないという、ほかの再生可能エネルギーにはない課題があります。

5-1 燃料の収集・運搬にコストがかかる

太陽光発電や風力発電では、発電のたびに燃料を購入する必要はありません。一方、バイオマス発電では、木質チップや木質ペレット、食品廃棄物などの燃料を継続的に調達する必要があります。

特に木質バイオマスなどは、発電所の近くに十分な燃料があるとは限りません。森林などから燃料を集め、発電所まで運搬し、保管・管理するための費用も必要です。

そのため、燃料価格だけでなく、収集・運搬を含めたサプライチェーン全体のコストが、発電事業の採算性に大きく影響します。

5-2 燃料の持続可能性を確保する必要がある

「バイオマス=必ず環境にやさしい」とは限りません。たとえば、海外から木質ペレットなどを輸入する場合、燃料の生産や加工、輸送などの過程でも温室効果ガスが排出されます。また、燃料の生産方法によっては、森林資源や食料生産との競合などが問題になる可能性もあります。

そのため日本では、バイオマス燃料について、燃料の調達から輸送・利用までを含めたライフサイクル全体の温室効果ガス排出量や、持続可能性を確認するための基準や仕組みが整備されています。

実際、資源エネルギー庁では2026年度にも、特に輸入木質バイオマス燃料の持続可能性や、2031年度以降のライフサイクルGHG排出量基準について調査・検討を行っています(※1)。

※1出典:資源エネルギー庁「令和8年度エネルギー需給構造高度化対策調査等事業(バイオマス発電に係る持続可能性及びライフサイクルGHG排出量基準等に関する調査)の実施に係る公募(入札可能性調査)の結果について」

5-3 燃料不足が発電事業の継続に影響することもある

バイオマス発電では、燃料を安定して確保できるかどうかが発電所の稼働率や事業の継続性を左右します。

資源エネルギー庁によると、2024年12月末時点でバイオマス発電の導入量は8.1GWに達していますが、中小規模の発電所では近年、燃料の需給が逼迫しており、事業を安定して継続することが課題となっています(※2)。

つまり、バイオマス発電は「燃料が自然に存在するから大丈夫」というものではありません。発電所を長期間稼働させるためには、必要な量の燃料を、適切な価格で、持続的に確保できる仕組みが欠かせません。

※2出典:資源エネルギー庁「バイオマス発電の導入状況」

第6章 日本におけるバイオマス発電の導入状況

日本でもバイオマス発電の導入は進んでいます。特に2012年のFIT制度開始以降、地域の木材などを活用した中小規模のバイオマス発電を中心に、導入が拡大してきました(※1)。2025年12月時点のバイオマス発電の導入量は8.7GWとなっており、国が2030年のエネルギーミックスで掲げている8.0GWの導入目標をすでに上回っています(※2)。

一方で、導入量が目標を上回ったからといって、今後も無条件に導入が拡大していくとは限りません。資源エネルギー庁によると、中小規模のバイオマス発電では、近年、燃料の需給が逼迫しており、事業を安定して継続することが課題となっています。

また、大規模な一般木質等バイオマス発電では、近年、新規案件の組成が見られない状況が続いています。2026年度からは、10,000kW以上の一般木質等バイオマス発電がFIT・FIP制度の新規認定対象外となるなど、制度面にも変化が生じています。

今後は、単純に発電設備を増やすだけでなく、地域の木材など国産バイオマスの有効活用や燃料の持続可能性を確保しながら、既存設備を安定的に運用していくことが重要になるでしょう。

※1出典:資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)第1章 第3節 一次エネルギーの動向」
※2出典:資源エネルギー庁「資料1 2030年エネルギーミックスに対する関係省庁施策の進捗状況」(2026年6月24日)

第7章 よくある質問(Q&A)

Q1. バイオマス発電はなぜ「ごみ」を電気に変えられるのですか?

A.生ごみや家畜のふん尿、木くずなどの生物資源を、直接燃焼させたり、ガス化・発酵させたりすることで蒸気やガスを発生させ、タービンを回して発電するためです。廃棄物として処分されていたものを燃料として再利用する仕組みです。

Q2. バイオマス発電のデメリットは何ですか?

A.燃料の収集・運搬・管理にコストがかかり、高コスト構造になりやすいことが挙げられます。また、燃料の持続可能性(食料競合やライフサイクル全体のCO₂排出量など)をどう確保するかも継続的な課題です。

Q3. バイオマス発電は本当に環境にいいのですか?

A.バイオマスを燃焼するとCO₂は排出されますが、植物が成長過程で吸収したCO₂に由来するものとして、温室効果ガス排出量の算定では化石燃料由来のCO₂とは区別して扱われます。ただし、燃料の生産や加工、輸送などでも温室効果ガスが排出されるため、持続可能な形で燃料を確保できているかが重要です。

Q4. 家庭の生ごみもバイオマス発電に使われますか?

A.使われます。生ごみのような水分を多く含む燃えにくいバイオマスは、メタン発酵によってバイオガス化することで燃料として活用されています。

Q5. 日本ではどのくらいバイオマス発電が普及していますか?

A.2025年12月末時点のバイオマス発電の直近の導入量は8.7GWで、国が掲げる2030年目標(8.0GW)をすでに上回っています。木質バイオマスを中心に、全国で導入が進んでいます。

第8章 まとめ

バイオマス発電は、生ごみや家畜のふん尿、木くずといった生物資源を、直接燃焼・ガス化・メタン発酵という方式で電気に変える技術です。廃棄物の再利用や循環型社会の構築に貢献できる一方で、燃料の収集・運搬コストや、持続可能な燃料調達という課題も抱えています。

国内では木質バイオマスを中心に導入が進み、すでに2030年目標を超える水準に達していますが、「燃料をどこから、どのように調達するか」という視点が、今後さらに重要になっていくはずです。

グリーンアライアンス事務局

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