2026.07.16 環境問題

森林破壊はなぜ止まらない?原因5選と消えゆく生き物たちへの影響 

いまも、地球上のどこかで森が消えているのをご存じでしょうか。農地開発、違法伐採——原因はひとつではなく、複数の問題が絡み合いながら、熱帯雨林をはじめとする世界の森林を蝕み続けています。

この記事では、森林破壊が止まらない5つの原因と、住みかを失いつつある野生動物たちの現状、そして地球規模で引き起こされる影響まで、データをもとに解説します。遠い熱帯雨林の話のように感じるかもしれませんが、その原因の一端は私たちの日常の消費行動ともつながっているのです。

第1章 森林破壊とは?今、地球で何が起きているのか

森林破壊とは?今、地球で何が起きているのか

森林破壊とは、農地開発や伐採などによって世界の森林が失われ続けている状態を指します。

その規模は、具体的な数字で見るとより実感できます。1990年から2020年の30年間で、世界の森林面積は約1億7,800万ヘクタール減少しましたが、これは日本の国土面積の約5倍に相当する広さです(※1)。

減少のペースは、1990年代の年784万ヘクタールから2010年代には年474万ヘクタールへと鈍化しつつあります。それでも、いまも1分間に東京ドーム約2.4個分の森林が消え続けている計算です。ペースが緩んだからといって、安心できる水準ではありません。

熱帯林に絞ると、状況はさらに深刻です。WWFジャパンによると、2015年以降、毎年失われる天然林は約10万平方キロメートル。1週間あたりに、東京都とほぼ同じ広さの森が姿を消している計算になります(※2)。

こうした森林破壊は、気候変動や生物多様性の損失など、他の環境問題とも深く関わっています。環境問題全体の概要は、以下の記事で詳しく解説しています。

※1出典:FAO「Global Forest Resources Assessment 2020」
※2出典:WWFジャパン「今日、森林破壊を止めるためにできること」

第2章 森林破壊はなぜ止まらない?原因5選

なぜ、これほど森林の消失が続くのでしょうか。農業・林業・気候変動が複雑に絡み合う5つの原因を見ていきましょう。

2-1 ①農地・プランテーションへの転用(牛肉・大豆・パーム油)

FAOの2020年報告では、熱帯地域の森林減少のうち約7割が農地への転用によるとされています。商業的な農業生産が40%、自給的な農業が33%という内訳です(※1)。

特に深刻なのが、牛肉・大豆・パーム油・木材という「4大森林リスクコモディティ」による開発です。ボルネオ島では、パーム油プランテーションの拡大などにより森林減少が進んでいます(※2)。スーパーで手に取る食品や日用品の原材料が、遠く離れた熱帯雨林の消失と直接つながっているのです。

2-2 ②違法伐採

正規の許可を得ない違法伐採も、森林破壊を加速させる大きな要因です。木材需要が世界的に高まるなか、保護区の内側ですら違法な伐採は後を絶ちません。スマトラ島ではパルプ・製紙産業やパーム油産業による無秩序な開発が進み、野生動物が生き続けるための生息地が細切れにされています(※3)。

2-3 ③焼畑農業

焼畑農業自体が問題というわけではありませんが、持続可能な形で行われなければ森林破壊の一因となります。人口増加が著しい地域では、土地を十分に休ませる余裕がなくなり、森林が再生しきる前に次の焼畑が始まります。その繰り返しによって土壌は疲弊し、最終的には農地としても使えない荒れ地になってしまうことがあります。

2-4 ④森林火災

気候変動の影響で干ばつが起きやすくなった今、森林火災の深刻さは年々増しています。乾燥した気候のもとでは自然発火や延焼が起きやすく、一度火がつくと広範囲に拡大します。WWFジャパンによると 、2019~2020年にかけてアマゾンでは森林火災が多発し、930平方キロメートルの森が焼失しました。その影響は生態系にも及び、生息していたジャガー約1,000頭が犠牲になったと推定されています(※2)

2-5 ⑤燃料用木材の過剰な採取

電力インフラが整っていない地域では、調理や暖房のために薪や木炭を使わざるを得ません。人口が増えれば採取量も増え、森林が再生する速度を上回るペースで木が失われていきます。生活に必要な行為が、じわじわと森を削っているのです。

※1出典:FAO「Global Forest Resources Assessment 2020」
※2出典:WWFジャパン「今日、森林破壊を止めるためにできること」
※3出典:AFPBB News「スマトラトラ、森林伐採で絶滅危機に 研究」

第3章 森林破壊で消えゆく生き物たち

森林破壊で消えゆく生き物たち

森が消えれば、そこに暮らす生き物も行き場を失います。WWFジャパンによると、森林をすみかとする野生生物のうち絶滅の危機にさらされている種は1万4,000種以上にのぼります(※1)。ここでは、森林破壊の影響を象徴する動物として、東南アジアと南米を代表する3種を紹介します。

3-1 オランウータン

スマトラ島では過去75年間で個体数が80%減少、ボルネオ島では過去60年間で半減——これがオランウータンの現実です(※1)。主な原因は、パーム油プランテーションの拡大と違法伐採。樹上生活を送るオランウータンにとって、森林が分断されることは移動手段そのものを奪われることを意味します。

3-2 スマトラトラ

IUCNレッドリストで「近絶滅種」に分類されているスマトラトラ。1990年から2010年の間に、スマトラ島の原生林の約40%が消えました。その結果、2000年から2012年だけで生息地が17%縮小し、野生の成獣は742頭から618頭にまで減少しています(※2)。別の調査では400〜500頭という、より少ない推計も出ています。

3-3 ジャガー

かつての生息域の半分以上がすでに失われた、南米最大のネコ科動物ジャガー(※1)。森林・湿地の開発による生息地の喪失に加え、2019~2020年にかけてアマゾンで多発した森林火災では 約1,000頭が犠牲になったと推定されています。頂点捕食者が1種いなくなるだけで、地域の食物連鎖や生物多様性のバランスは大きく崩れます。

※1出典:WWFジャパン「今日、森林破壊を止めるためにできること」
※2出典:Nature Portfolio「森林伐採がスマトラトラ絶滅の脅威を加速させている」 、 AFPBB News「スマトラトラ、森林伐採で絶滅危機に 研究」

第4章 森林破壊が地球規模で引き起こす影響

森林破壊の影響は、特定の地域や生き物の問題にとどまりません。陸地面積のわずか12%程度を占める熱帯林ですが、陸域における光合成を支える重要な役割を担っています(※1)。

とりわけアマゾンは「地球の肺」とも呼ばれ、CO2吸収源として果たす役割は地球規模で非常に重要です。森が失われるほど大気中のCO2を吸収する力は低下し、地球温暖化はさらに加速します。実際、世界の温室効果ガス排出量の約11%は、森林伐採や森林転用によるものと推定されています (※2)。

※1出典:国立環境研究所 気候変動適応情報プラットフォーム
※2出典:環境省「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)サイクル」

第5章 世界と日本の取り組み

森林破壊を食い止めるため、国際社会でもさまざまな取り組みが進んでいます。なかには、具体的な成果として数字に表れてきたものもあります。

ブラジル国立宇宙研究所(INPE)のデータによると、2024年7月までの1年間でアマゾンの森林破壊面積は前年比30.6%減少し、2015年以来の低水準を記録しました。ルラ政権による環境法の執行強化が大きな要因とされています(※1)。

ただし、楽観はできません。同じ期間に「森林劣化」——伐採には至らないものの樹木がダメージを受けた状態——は前年比497%という急増を見せました。これは干ばつによる大規模火災が原因です(※2)。破壊面積が減っても劣化が急増する——森林の現状は、単純な数字の増減だけでは語れないのです。

企業・消費者レベルでの変化も広がっています。持続可能なパーム油の生産を認証するRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)のような枠組みが、森林保全の新たな後押しになりつつあります。

※1出典:INPE・Reuters「Brazil's Amazon posts lowest deforestation in nine years」
※2出典:Mongabay「Drop in Amazon deforestation confirmed, but degradation soars 497% in 2024」

第6章 私たちにできること

私たちにできること

熱帯雨林の問題は、遠い国の話ではありません。私たちの毎日の買い物や消費行動と、確実につながっています。

現在、世界で森林などの自然環境に頼って生活している人は約2億5,000万人。それにもかかわらず、適切な保護区として指定されている森林はわずか17%にすぎません(※)。問題を解決するには個人の行動だけでなく、企業や政策レベルでの仕組みづくりも不可欠です。

とはいえ、今日からできることはあります。

  • パーム油や大豆など、原材料の調達に配慮したRSPO・FSCなどの認証マークがついた商品を選ぶ
  • 紙製品や木材製品を必要以上に消費しない習慣をつける
  • 森林保全・生物多様性の保護に取り組む団体の活動を知り、寄付や情報発信で応援する

特別な行動でなくていいのです。「知ること」から始めるだけで、確実に一歩前に進めます。

※出典:WWFジャパン「今日、森林破壊を止めるためにできること」

第7章 よくある質問(FAQ)

Q1. 森林破壊が最も深刻な地域はどこですか?

A.インドネシア・マレーシアなど東南アジアの熱帯雨林と、南米のアマゾンが特に深刻とされています。東南アジアではパーム油プランテーションの拡大、アマゾンでは牛肉・大豆生産のための農地転換が主な要因です(※1)。アフリカでは燃料用木材の採取が大きな割合を占めるなど、地域によって原因は大きく異なります。

Q2. 森林破壊は今後も進み続けるのですか?

A.減少ペース自体は1990年代の年784万ヘクタールから2010年代の年474万ヘクタールへと鈍化しています(※2)。ただし依然として大規模な減少が続いており、楽観できる状況ではありません。破壊面積が減る一方で森林劣化が急増するなど、問題の形が変わりながら続いています。

Q3. 森林破壊とSDGsはどのように関係していますか?

A.最も直接的には「陸の豊かさも守ろう(目標15)」に関わっていますが、森林減少によるCO2吸収源の喪失は「気候変動に具体的な対策を(目標13)」にも深く影響します。国連は1992年の森林原則声明以降、複数の国際的な枠組みを通じて森林保全を進めています。

Q4. 個人の消費行動は、本当に森林破壊の抑制につながりますか?

A.一人の力は小さくても、RSPOやFSCの認証マークを選ぶ消費者が増えれば、生産者や企業の調達方針も変わり始めます。実際、こうした認証制度は企業の行動を変える力を持つ仕組みとして国際的に広がっています。消費の選択は、森に届く「声」になりえます。

Q5. 森林破壊は日本にも影響がありますか?

A.日本は木材・大豆・パーム油など、多くの製品を海外からの輸入に頼っています。その消費活動を通じて、海外の森林破壊と間接的につながっています。また、熱帯林の消失はCO2吸収源の喪失を通じて地球規模の気候変動を加速させるため、日本で頻発する異常気象とも無縁ではありません。

※1出典:WWFジャパン「今日、森林破壊を止めるためにできること」
※2出典:FAO「Global Forest Resources Assessment 2020」

第8章 まとめ

農地転換・違法伐採・焼畑農業・森林火災・燃料用木材の採取——5つの原因が複雑に絡み合いながら、世界の森林破壊は今日もどこかで続いています。

オランウータン、スマトラトラ、ジャガーの現状が示すように、その影響は一部の生き物の絶滅問題にとどまりません。CO2吸収源が失われることで地球温暖化が加速し、気候変動の影響は私たちの日常にも確実に及んできます。数字の裏側には、すみかを追われた野生動物たちと、生活の基盤を失った人々の現実があります。認証マークのついた商品を選ぶ、それだけでいい。まず一つ、できることから始めてみてください。

森林破壊は数ある環境問題の一つに過ぎません。地球温暖化や海洋汚染問題など、他の環境問題について知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

グリーンアライアンス事務局

〒108-0014
東京都港区芝4丁目10番1号 ハンファビル