SDGsの達成を目指して立ち上げられた「グリーンアライアンス」。そのパートナー企業それぞれの活動や地元に対する思いなどをご紹介します。 今回は、大阪市の株式会社RH総合サービスをご紹介。代表取締役の奥村氏に、現在の好業績に至るまでの、怒涛ともいえる展開について語っていただきました。奥村氏がe-Bikeで大阪のディープスポットを案内する特別企画もお楽しみいただけます。

＜目次＞
01. 意外な需要を発見し、チャレンジ。どんどん売って広めることで環境保護に貢献！
02. 株式会社RH総合サービス奥村氏がe-Bikeで案内　パワーあふれる大阪

山あり谷ありの日々を乗り越え、好業績の現在に

RH総合サービスは、住宅設備の総合商社として、全国規模でビジネスを展開。創業25年目となる現在、30名のスタッフで年間売り上げ65億円と、かなりの好業績で注目されています。

「2001年に住宅リフォーム会社として設立しました。2003年頃にインターネット販売が普及して、これなら全国販売もできるなと、住宅設備機器などのEC事業もスタート。このため大量に在庫ができたので、工務店などに向けての卸売業も始めました。また長年リフォームをやってきたノウハウを活かし、去年からは中古マンションを買ってリフォームし販売、というのを主流に不動産業も開始。これは新築マンションに比べるとだいぶ安くなるので喜ばれ、すでに15戸以上は契約済です」と、創業者で代表取締役の奥村博之氏が現在の状況を説明してくれました。

新大阪駅からほど近い大通り沿いにある本社社屋の「RHビル」（左）。代表取締役 奥村博之氏

いかにも順風満帆、絶好調なビジネス展開とも思われますが、「実は僕は中卒なんです」と語り始めた奥村氏の話をさらに聞いてみると、これまでに山あり谷あり。まるでジェットコースターのような日々だったことがうかがえます。
「高校在学中、父親が大阪で経営する建築会社を手伝い、人集めの頭などをしていました。いずれは会社を継ぐだろうし、学校に行くより仕事だと、1年で中退。そのまま20歳まで父の会社で働きました。その後、姉が起業したので、こちらを手伝うことに。エステ関連の機材販売などを担当したところ業績が上がって、自分自身、“もの”を売ることが面白くなってきたんです。5年後には独立しようとしたのですが、姉からは同じ業種はダメ、大阪での商売もNGと…。仕方なく、親戚がいる徳島に行き、ここでリフォーム屋を始めました。これが2001年、26歳の時のことです」

最初は地元でチラシを配って個別訪問して、という地道な方法で営業。それでも、数年のうちに徳島、愛媛、香川に支店を出すまでになったそうです。
「そんな中、2カ所の支店長に裏切られるというショックな事が起こりまして…。彼らは会社の名前を悪用し、身内に仕事を振って商売をしていた。2カ所ともです。それでちょっと人間不信になりまして、2004年くらいに一旦、すべての支店を閉めて、何もしない時期がありました」

太陽光発電事業で復活！

気落ちしていた奥村氏に再びやる気を起こさせたのは、クリーンエネルギーを作り出す商品の登場だったといいます。
「仕事を中断していたちょうどそのころ、関西電力からエコキュートが出たんです。CO₂削減につながり、環境保護にも役立つ100年に一度の素晴らしい商品だという。これはいける、と今度は金沢に支店を出し、エコキュートなどオール電化に特化したリフォーム商材の販売を始めました。それが結構売れまして、福井、富山と3店舗を出すことができました。そうこうしているうちに、今度は150年に一度のすごい商品が出たというんです。これが太陽光発電システムだった。“おお、これはウチがやる仕事やん”と、ピンときました。オール電化、CO₂を出さない、環境にいい、いろいろとマッチするからエコキュートとセットにして売ろうと」
この太陽光発電システムの販売により、売り上げは急上昇。その後のECや卸業など、さらなる成長へのきっかけになったといいます。拠点も故郷の大阪に戻しました。

現在は、ZEH（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）にも力を入れています。
「不動産業務では一軒家も手掛けており、これからは太陽光発電と蓄電池の装備は必須にしていこうと思っています。以前は売電目的で太陽光が売れたけれども、今は自家消費が主目的になっています。時代も、お客さまの意識も変わってきている。弊社も“環境”を前面に出した仕事の仕方をしていきたい。クリーンエネルギーを作るいいものを売っている、たくさん売れば売るほど、社会貢献につながる、という意気込みです（笑）」。

フロアごとにビタミンカラーで色分けされた明るい本社ビル

人がやらないことが、目の付け所

RH総合サービスの好調の背景には、今まで人がやらなかったところに需要を見つけ、新しいことに挑戦していく、という独自のビジネススタイルがあるようです。
例えば、ECビジネスの顧客対応として、日本各地に支店や営業所を開設。スタッフが常駐していないところもありますが、月に1回担当者が出向き、現地のメーカー担当者と共にアフターケア等を行っています。これによりインターネット販売のデメリットともなり得る、地理的なギャップを克服することに成功しています。

また、15年前にベトナムのホーチミン・シティにも支店を開設。ここでは商品カタログなどのバージョンアップ作業を行っています。
「エアコンだけでも1000種類以上、IHコンロや水回り商品など、何万種類もの製品を扱っていますが、その品番が毎年変わるんです。その情報のアップデートを専門にやるのが、ここ。日本より人件費が抑えられるのがメリットです。毎朝オンラインでミーティングをしながら作業を進めており、更新はリアルタイムで反映されるので、距離の遠さは全く気にならないですね。

さらに、工務店などへの卸販売も独自戦略で展開しています。
「一般的に住宅設備機器の卸というは、大手商社が、キッチンやお風呂などの大物を大量に仕入れて売るスタイルで行っています。ところがそこに付随するIHコンロやレンジフードなどの細かいものは度外視されがちで、これが結構高いんです。うちはそういった小さなものを大量に仕入れて安く卸すことからスタートしました。最初は全く相手にされなかったんですが、例えばIHコンロが1台１～2万安いだけでも、扱い数が多い工務店ではトータルで大きな差が出てくる。1人分の人件費くらい出ますよと。そんな話をしていたら徐々に耳を傾けてくれるようになり、実際に取引につながってきました」

「創業当初には、今の状況は全く想定していませんでしたが、徐々に目指すものも大きくなってきました。2030年までに50名体制で100億円を売り上げる、これが今のところの目標です」
1つの仕事から別の新しい仕事へとつなげ、ユニークな着眼点とアイデアで、ビジネスを広げていく。「考えついたことをとりあえずやってみる。10回トライして、8回は失敗ですが」と笑う奥村氏のお話からは、筋を通しながらも合理的に、独自路線で物事を切り開いていく、そんな伝統的な浪速商人の哲学のようなものが感じられました。

［特別企画］株式会社RH総合サービス奥村氏がe-Bikeで案内　パワーあふれる大阪

グリーンアライアンスの3つのアクションのひとつ「エコフレンドリーなモビリティと連携した社会貢献活動」でも推進しているe-Bike。この快適な自転車を使い、奥村氏がエネルギー溢れる大阪の街を案内します。

大阪出身の奥村氏は、四国や北陸などを拠点に事業を行ったあと、本社を大阪に戻しました。現在も出張が多く、地元にいられるのは1か月のうち1週間ほどだそうですが、「大阪に戻るとよく眠れる」と、この街の空気がいちばん落ち着く様子です。独特の“コテコテの大阪文化”の魅力について伺うと「僕にとってはこれが普通で、特別ではないのです…。まあ、この雰囲気は何もしなくてもずっと変わらないでしょうね。それくらいパワーがある街だと思います」
そんな生粋の大阪人、奥村氏に、次の3カ所を紹介してもらいました。

【おすすめスポット１　大阪城】

大阪のシンボルといえば、ここ。戦国時代より歴史の重要な舞台となってきた大阪城です。豊臣秀吉が築城し、大坂の陣の後、徳川家によって再建。華やかな天守閣は博物館として公開されています。周辺を含め大阪城公園全体が国内外からの観光客に大人気です。
www.osakacastle.net

天守閣は、明治維新の際に焼失後、1931年に市民の寄付金によって復元

【おすすめスポット２ 淀川河川公園】

大阪市内を流れる淀川の河川敷に沿って様々な公園が続いています。本社からも至近で、対岸の梅田など都心のビル街を眺めながら緑地帯のサイクリングが楽しめます。
www.yodogawa-park.jp

河川敷には大阪市の中心街を一望できる遊歩道が伸びる

【おすすめスポット3 立ち喰い「亀田家のちゃんこ」】

奥村氏お気に入りの店。ボクシングで有名な亀田家秘伝のちゃんこ鍋が楽しめると評判です。切り盛りするのは亀田家の末娘でプロボクサー、モデル、タレントの亀田姫月（ひめき）さん。スタンド形式で気軽に立ち寄れるのも大阪的です。
www.instagram.com/kameda__chanko/　

西成区にある小さなお店は大人気。具沢山のちゃんこや、だし巻き卵が美味！

Photo: Takanori Ota