2026.11.05 脱炭素

e-Bikeは環境にやさしい?CO2は車の約12分の1?バッテリーの環境負荷も解説

e-Bike(イーバイク)は、電気の力でペダルをこぐ動きを助けてくれる電動アシスト自転車です。
環境にやさしそうなイメージがある一方で、 「電池を作るときに、たくさんCO₂が出るのでは?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。この記事では、e-BikeのCO₂を車や普通の自転車と比べ、バッテリーの環境負荷や、車から乗り換えるとCO₂がどれだけ減るのかを、国内外の研究データで解説します。

【この記事でわかること】

  • ・e-Bike(電動アシスト自転車)とは何か、日本の基準
  • ・1km移動したときのCO₂を、車・バス・普通の自転車と比べた結果
  • ・バッテリーを作るとき、使い終わったときの環境負荷
  • ・車からe-Bikeに乗り換えると、CO₂はどれだけ減るのか
  • ・環境効果を高める使い方と、バッテリーの出し方

第1章 e-Bike(電動アシスト自転車)とは?

e-Bikeとは、ペダルをこぐ人の力を、電気のモーターが補ってくれる自転車のことです。 日本では「電動アシスト自転車」と呼ばれ、法律では「駆動補助機付自転車」といいます(※1)。
国の調べでは、電動アシスト自転車を持っている世帯の割合は、2024年度末の時点で12.1%でした(※2)。およそ8世帯に1世帯の割合です。

1-1 人がこぐ力を、モーターが最大2倍まで補う自転車

e-Bikeのモーターは、人がペダルをこいだときにだけ動き、こぐ力を後押しします。どこまで後押ししてよいかは、道路交通法の施行規則で、走る速さごとに決められています(※1)。

  • 時速10km未満:人がこぐ力の、最大2倍まで補える
  • 時速10〜24km未満:速くなるほど、補える力が小さくなる
  • 時速24km以上:モーターは補わない

つまり、こぎ出しや坂道では大きく助けてくれる一方、スピードが出るにつれて、モーターの後押しは弱まっていきます。モーターが補えるのは人の力の2倍までなので、走る力の少なくとも3分の1は、いつも人の脚がまかなっていることになります。

e-Bikeのアシスト力と速度の関係

※図の出典:警察庁「道路交通法の基準に適合しない『電動アシスト自転車』と称する製品について」(2016年10月)をもとに当社作成

1-2 見た目が似た「ペダル付き電動バイク」は、原付と同じ扱い

一方、ペダルが付いていて自転車のように見えても、電動アシスト自転車とは認められない車両もあります。たとえば、次のような車両です。

  • アクセル(スロットル)が付いていて、ペダルをこがなくても走れる
  • モーターが補う力が、1-1の基準より強い

こうした車両は「ペダル付き電動バイク」と呼ばれ、法律上は原付(一般原動機付自転車など)と同じ扱いになります。運転するには運転免許とヘルメットが必要で、ナンバープレートも付けなければなりません(※3)。
実際に、「電動アシスト自転車」として売られていた製品が基準を満たしておらず、原付に当たると判明した例もあります(※4)。この記事で「e-Bike」と呼ぶのは、日本の基準を満たした電動アシスト自転車のことです。

※出典1:警察庁「道路交通法の基準に適合しない『電動アシスト自転車』と称する製品について」(2016年10月)
※出典2:国土交通省「第3次自転車活用推進計画」(2026年5月)
※出典3:警察庁「自転車を安全・安心に利用するために【自転車ルールブック】」(2025年9月)
※出典4:警察庁「道路交通法の基準に適合しない『電動アシスト自転車』と称する製品について」(2023年4月)

第2章 e-Bikeは本当に環境にやさしい?

e-Bikeは、走るときに排気ガスを出しません。ただし、充電には電気を使いますし、車体や電池を作るときにもCO₂が出ます。では、作るときから走るときまでを合わせると、e-Bikeは本当に環境にやさしいのでしょうか。
結論から言うと、1km移動したときのCO₂は、車の約12分の1です。

2-1 1km移動したときのCO2は、車の約12分の1

欧州サイクリスト連盟(ECF)は2011年、1人が1km移動するときに出るCO₂を、乗り物ごとに比べました(※1)。車体を作るときや整備のほか、走るためのエネルギー(ガソリンや電気、自転車ならこぐ人の食事)まで含めた数字です。

乗り物 1人が1km移動するときのCO₂
普通の自転車 約21g
e-Bike 約22g
バス 約101g
車(乗用車) 約271g

表のとおり、e-Bikeの22gは、車の271gの約12分の1です。
なお、この数字は2011年時点の欧州の推計です。車の数字は、自転車でも行ける短い移動(7.5kmまで)を想定し、1台に平均1.57人が乗るとして計算されています(※)。

2-2 充電の電気を含めても、普通の自転車とほぼ同じ

2-1の表で意外なのは、e-Bike(約22g)と普通の自転車(約21g)が、ほとんど変わらないことかもしれません。電気を使うe-Bikeのほうが、なぜCO₂の差が小さいのでしょうか。
ECFの計算では、e-Bikeの約22gは、次の3つを合わせたものです(※)。

  • 車体を作るときと整備の分:約7g
  • 充電する電気を作るときの分:約9g
  • こぐ人が、そのぶん多く食べる食事の分:約6g

3つ目の「食事の分」は、少しわかりにくいかもしれません。人は自転車をこぐとエネルギーを使い、その分だけ食べる量が増えます。食べ物を作るときにもCO₂が出るため、ECFは自転車の「燃料」として、食事の分も数えています。
普通の自転車では、この食事の分が1kmあたり約16gになります(※)。一方、e-Bikeはモーターが助けるため、こぐ人が使うエネルギーが少なく、食事の分は約6gで済みます。電気の分が増える代わりに食事の分が減るため、合計では普通の自転車とほぼ同じになるのです。
なお、CO₂がなぜ地球温暖化の原因になるのかは、以下の記事でわかりやすく解説しています。

※出典:European Cyclists' Federation「Cycle more Often 2 cool down the planet! Quantifying CO2 savings of cycling」(2011年)

第3章 e-Bikeのバッテリーの環境負荷はどれくらい?

e-Bikeのバッテリー(電池)については、「作るときに、たくさんCO₂が出るのでは?」と心配する声もあります。
たしかに、電池を積むぶん、作るときのCO₂は普通の自転車の約1.6倍になります。 一方で、使い終わった電池は、資源として再び使うこともできます。ここでは、作るときと使い終わったときに分けて見ていきます。

3-1 作るときのCO2は、普通の自転車の約1.6倍

東京都市大学の研究グループは、e-Bike1台を分解し、部品ごとの材料をもとに、e-BikeのCO₂を計算しました(※1)。2011年に日本LCA学会で発表された結果では、e-Bike1台のCO₂は74.7kgで、普通の自転車の約1.6倍でした。この数字は、材料を作るときと、8年間の充電の分を合わせたものです。
このうち充電の分は、材料を作るときと比べてかなり小さく、増えた分のほとんどは、電池(リチウムイオン電池)を作るときのCO₂です。なお、この計算は、8年間で電池を2個使う(途中で1回交換する)前提です。
e-Bikeの部品を作るドイツのボッシュも、同じように電池の負荷が大きいとしています。ボッシュの計算では、モーターや電池などの電動部品がe-Bike全体のCO₂の約3割を占め、さらにその半分以上が電池でした(※2)。
それでも、e-Bikeが車より環境にやさしいことに変わりはありません。2-1で見たとおり、電池を作るときのCO₂まで含めても、e-BikeのCO₂(約22g)は車の約12分の1です。

3-2 使い終わった電池から、原材料の約8割を取り出せる(ドイツの例)

使い終わったe-Bikeの電池は、ごみではなく、資源にもなります。日本では、資源有効利用促進法という法律で、電動自転車のメーカーなどに、使い終わった電池を回収してリサイクルすることが義務づけられています(※3)。回収された電池からは、コバルトやニッケルなどの金属が取り出され、再び使われます。
取り出せる材料の割合を示した例もあります。ドイツでは、業界共通の回収の仕組みによって、使い終わったe-Bikeの電池から、原材料の約79%を取り出し、新しい製品に使えるとされています(※2)。
このように、使い終わった製品の中に眠る金属は「都市鉱山」とも呼ばれます。都市鉱山の考え方や、日本での取り組みは、以下の記事で紹介しています。

電池を資源として生かすには、正しい出し方を守ることが欠かせません。具体的な出し方は、5-3で紹介します。

※出典1:田中潤・伊坪徳宏(東京都市大学)「電動アシスト自転車の環境影響評価とその導入に伴う環境影響削減効果」第6回日本LCA学会研究発表会講演要旨集(2011年3月)
※出典2:Bosch eBike Systems「eBike で実現する持続可能なモビリティ」
※出典3:経済産業省「小型二次電池のリサイクル(資源有効利用促進法)」

第4章 e-Bikeに乗り換えると、CO2はどれだけ減る?

e-Bikeに乗る人

1回の移動で見れば、e-BikeのCO₂は車の約12分の1でした。では、多くの人が車からe-Bikeに乗り換えると、社会全体でCO₂はどれだけ減るのでしょうか。
結論から言うと、英国の試算では、イングランド全体の車のCO₂を、最大で半分ほど減らせる可能性があります。

4-1 イングランド全体の車のCO2が、最大50%減る(英国の試算)

英国のリーズ大学などの研究グループ(CREDS)は2020年、人々が車での移動を、できる限りe-Bikeに置き換えた場合の試算を発表しました(※1)。その結果、イングランド全体の車のCO₂を最大50%、年間で約3,000万トン減らせる可能性があるとしています。e-Bikeに乗る人1人あたりでは、年に約0.7トンの削減です(※1)。
1回の移動では約12分の1になるのに、全体では半分までなのはなぜでしょうか。理由は、車での移動のすべてを、e-Bikeに置き換えられるわけではないからです。CREDSは、人がe-Bikeで移動できる距離を地域ごとに見積もっており、それを超える遠くへの移動などは、車のまま残るものとして計算しています(※1)。

乗り物ごとのCO2排出量の比較

※図の出典:European Cyclists' Federation「Cycle more Often 2 cool down the planet!」(2011年)、CREDS「e-bike carbon savings – how much and where?」(2020年5月)をもとに当社作成

ただし、この50%は、イングランドの大人が平均で年に約5,000km(1日あたり約14km)をe-Bikeで走るという、暮らし方が大きく変わる前提の最大値です(※1)。実際には、誰もがそこまでe-Bikeに乗れるわけではありません。
では、もう少し現実に近い場合はどうでしょうか。CREDSは、英国のブライトンでe-Bikeを貸し出した実験の結果も紹介しています。参加者は、車での移動の約20%をe-Bikeに置き換えました。この割合をイングランド全体に当てはめると、車のCO₂は約7〜13%減る計算です(※1)。

4-2 公共交通が少ない地方ほど、減る量が大きい

CREDSの試算では、CO₂が大きく減るのは、都市の中心部よりも、地方や郊外でした(※1)。地方は車に頼る割合が高く、1回の移動の距離も長いうえ、バスや電車などのほかの手段が少ないためです。
反対に、都市では、もともと歩きや普通の自転車で済ませられる移動が多くあります。そのため、e-Bikeが加わることで増える効果は、地方より小さくなります。
日本でも、車は短い移動に多く使われています。国土交通省によると、車での移動のうち約4割は5km以内です(※2)。そこで国は、2026年5月に決めた「第3次自転車活用推進計画」で、短い距離や中くらいの距離での車の利用を、自転車に切り替えていく方針を示しました(※2)。
この計画では、e-Bikeは坂道の多い地域の移動手段としても役立つとされています。普通の自転車では大変な坂道でも、モーターの後押しがあれば走りやすくなります。車に頼りがちな地域でこそ、e-Bikeを生かせる場面は多いといえるでしょう。
国が脱炭素を進める理由や、2050年に向けた目標は、以下の記事で解説しています。

※出典1:CREDS「e-bike carbon savings – how much and where?」(2020年5月)
※出典2:国土交通省「第3次自転車活用推進計画」(2026年5月)

第5章 e-Bikeの環境効果を高めるには?

e-Bikeの環境効果は、どう使うかで大きく変わります。ここでは、環境効果を高めるためにできることを3つ紹介します。

5-1 車で行っていた短い移動から置き換える

いちばん効果が大きいのは、これまで車で行っていた移動を、e-Bikeに置き換えることです。
ポイントは、あくまで「車で行っていた移動」を置き換えることです。普通の自転車からe-Bikeに替えても、2-2のとおりCO₂はほとんど変わりません。
実際、ECFが紹介しているオランダの研究によると、e-Bikeでの移動のうち、39%は車からの乗り換えでしたが、それより多い45%は普通の自転車からの乗り換えでした(※1)。車からの乗り換えがもっと増えれば、e-BikeでCO₂を減らせる効果は、さらに大きくなります。
まずは、駅までの送り迎えや近所への買い物、5km以内の通勤など、ふだん車で行っている短い移動を書き出してみてください。その中から1つでもe-Bikeに替えられれば、CO₂を減らす第一歩になります。

5-2 基準を満たした車体を選び、電池を長持ちさせる

e-Bikeを買うときは、まず日本の基準を満たした車体かどうかを確かめましょう。1-2のとおり、基準を満たさない車両は原付の扱いになり、自転車としては乗れません。
基準を満たしているかどうかを確認する目安の一つが、「型式認定TSマーク」です。国家公安委員会の型式認定を受けた電動アシスト自転車には、このマークを表示できます(※2)。
また、買ったあとは、電池をできるだけ長く使いましょう。3-1のとおり、e-Bikeの環境負荷でいちばん大きいのは電池です。電池を交換する回数が減れば、そのぶん新しい電池を作るときのCO₂を減らせます(※3)。充電や保管は、取扱説明書にある方法を守ってください。

5-3 使い終わったバッテリーは、販売店や自転車店に持ち込む

電池を交換するときや、e-Bikeを手放すときは、使い終わった電池を不燃ごみなどに出さないでください。購入した販売店や自転車店に持ち込みましょう。
ごみとして出すのが危ないのは、電池が押しつぶされると、火事の原因になるからです。製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2019年12月には東京都で、不燃ごみとして出されたe-Bikeの電池が、ごみ収集車の中で押しつぶされて火災になったと考えられています(※4)。
使い終わった充電式の電池は、電池のリサイクルを進める団体「JBRC」が回収しています。JBRCの会員企業の電池であれば、家電販売店や自転車店、自治体の施設などの「協力店」に持ち込めます(※5)。持ち込める場所は、JBRCのホームページの「協力店・協力自治体検索」で探せます。

※出典1:European Cyclists' Federation「Cycle more Often 2 cool down the planet! Quantifying CO2 savings of cycling」(2011年)
※出典2:警察庁「駆動補助機付自転車に係る型式認定品について」
※出典3:田中潤・伊坪徳宏(東京都市大学)「電動アシスト自転車の環境影響評価とその導入に伴う環境影響削減効果」第6回日本LCA学会研究発表会講演要旨集(2011年3月)
※出典4:製品評価技術基盤機構(NITE)「『ごみ捨て火災』、被害は100億円超え!~充電式電池は正しく捨てましょう~」(2023年6月)
※出典5:一般社団法人JBRC「小型充電式電池のリサイクル」

第6章 よくある質問(FAQ)

6-1 Q1. 充電に使う電気が火力発電でも、環境にやさしいといえる?

A. 車と比べれば、環境にやさしいといえます。ECFの計算では、e-Bikeの充電に使う電気を作るときのCO₂は、1kmあたり約9gでした(※1)。この数字は欧州の平均的な電気で計算したもので、火力発電の割合が高い電気ほど増えます。それでも、車の約271gと比べれば、ずっと小さな量です。

6-2 Q2. e-Bikeに乗るのに、免許やヘルメットは必要?

A. 日本の基準を満たしたe-Bikeは自転車の扱いなので、運転免許はいりません。ヘルメットは、自転車に乗るすべての人に、かぶるよう努める義務(努力義務)があります(※2)。

6-3 Q3. EVとe-Bike、環境にやさしいのはどっち?

A. 作るときから走るときまでのCO₂で比べると、e-Bikeのほうが少なくなります。CREDSがまとめた1kmあたりのCO₂は、e-Bikeが22g、EV(日産リーフ)が104g、ハイブリッド車(トヨタ・プリウス)が168g、ガソリン車(EUの平均)が258gです(※3)。ただし、EVは長い距離の移動や、家族そろっての移動にも使えるため、e-Bikeとは得意な移動が違います。
EVのしくみや、本当にエコなのかは、以下の記事で詳しく解説しています。

※出典1:European Cyclists' Federation「Cycle more Often 2 cool down the planet! Quantifying CO2 savings of cycling」(2011年)
※出典2:警察庁「自転車を安全・安心に利用するために【自転車ルールブック】」(2025年9月)
※出典3:CREDS「e-bike carbon savings – how much and where?」(2020年5月)

第7章 まとめ

e-Bikeは、車体や電池を作るときのCO₂まで含めても、1km移動したときのCO₂が車の約12分の1です。電池の環境負荷はありますが、車で行っていた移動を置き換えれば、CO₂を大きく減らせます。
まずは、ふだん車で行っている5km以内の移動を書き出し、e-Bikeに替えられるものがないか探してみてください。使い終わった電池は、販売店や自転車店に持ち込みましょう。

執筆 
グリーンアライアンス事務局

LEARNは、ハンファジャパン株式会社が主宰するSDGsパートナーシップ制度「Green Alliance」の学習コンテンツです。記事は再生可能エネルギー事業に携わる社員が、公的機関の統計や一次情報をもとに執筆しています。

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