土壌汚染と聞いても、地面の下で起きていることなので、どこか実感がわきにくいかもしれません。けれども日本では、毎日飲んでいた井戸水や、住んでいるマンションの敷地で、土の汚れが見つかった例があります。
一方で、かつてヒ素の煙で牛や馬が死んだ宮崎県の土呂久では、2022年に、地元で育った肉牛が和牛の全国大会で内閣総理大臣賞を受けました。この記事では、土壌汚染の原因と人の体への影響を環境省のデータで整理し、汚れた土地のその後まで含めた日本の5つの事例と、土地の安全を確かめる方法を紹介します。
【この記事でわかること】
- ・土壌汚染とは何か、どこから有害物質が入るのか
- ・土壌汚染が人の体に影響する2つの経路
- ・日本で起きた土壌汚染の事例5選と、汚れた土地のその後
- ・土壌汚染を防ぐ法律のしくみと、土地の記録の調べ方
第1章 土壌汚染とは?
土壌汚染とは、人にとって有害な物質によって、土が汚れた状態のことです(※)。まずは土の役割から見ていきましょう。
土は、水や空気と同じように、生き物が生きるために欠かせないものです。土の中では多くの生き物が暮らしています。そして、土に含まれる水分や養分が、私たちの食べる農作物を育てています。
この土に、工場で使われた化学物質や重金属などがしみ込み、たまってしまった状態が土壌汚染です。人の活動による汚染だけでなく、もともと地層に含まれていた物質による「自然由来」の汚染もあります(※)。
土壌汚染のやっかいなところは、目に見えにくいことです。汚れは地面の下にあるため、工事や土地の調査をして初めて見つかることがほとんどです。
なお、土の力が弱って作物が育たなくなる「砂漠化(土地の劣化)」とは別の問題です。砂漠化の原因については、以下の記事で解説しています。
地球温暖化や海洋汚染など、いま起きている環境問題の全体像は、こちらの記事で一覧にしています。
※出典:環境省 パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」2 土壌汚染とは?
第2章 土壌汚染の原因は?有害物質が土に入る3つのルート
土を汚す有害物質は、主に3つのルートで土に入ります。工場などからの漏れ、廃棄物の不適切な処理、そして自然由来です。順に見ていきましょう。
2-1 工場や事業所で使った物質が漏れて、しみ込む
いちばん代表的なのが、工場や事業所で使っていた有害物質が漏れて、地下にしみ込むケースです。原料として使う有害な物質の扱いを誤ったり、有害物質を含む液体が地面にしみ込んだりすることが原因になります(※1)。
国は、土を汚すおそれがある物質のうち26種類を「特定有害物質」と決めています。特定有害物質は、性質によって次の3つのグループに分かれます(※2)。表の「揮発性有機化合物」とは、常温で蒸発しやすい有機化合物のことです。
| グループ | 物質の数 | 主な例 |
|---|---|---|
| 揮発性有機化合物(第一種) | 12 | トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ベンゼン |
| 重金属など(第二種) | 9 | 鉛、ヒ素、カドミウム、六価クロム、水銀、ふっ素 |
| 農薬など(第三種) | 5 | シマジン、チウラム、PCB(ポリ塩化ビフェニル) |
このうち揮発性有機化合物の身近な例には、クリーニング店で使われる溶剤のテトラクロロエチレンがあります。環境省の調査では、2023年度に国の制度にもとづく調査で汚染が見つかった土地を、その土地で行われていた事業の種類ごとに集計しています。それによると、クリーニング店などの土地23件のうち、21件でテトラクロロエチレンが基準を超えていました(※3)。
化学物質がどこまで広がるのかについては、以下の記事でも紹介しています。
2-2 廃棄物が適切に処理されない・不法に捨てられる
2つ目のルートは、有害物質を含む廃棄物が、適切に処理されないまま埋められたり捨てられたりするケースです。第4章で紹介する東京都江東区の事例では、工場から出た廃棄物が地中に大量に埋められていました。
汚れた土そのものも、扱いを誤ると汚染を広げます。そのため法律では、汚れた土を運び出すときに、行き先を記録する「管理票」の使用を義務づけています。運ぶ途中で不法に捨てられるおそれがあるためです(※1)。
生ごみや家畜のふんなど、動植物から出る廃棄物が水や土を汚すしくみは、こちらの記事で解説しています。
2-3 もともと土に含まれている(自然由来)
3つ目は、人の活動とは関係なく、もともと地層にヒ素や鉛などが含まれているケースです。こうした自然由来の有害物質も、広い意味では土壌汚染として扱われます。ただし、自然由来の土壌は、原則として土壌汚染対策法の対象外です(※1)。
たとえば、海の底でできた地層には、カドミウム・鉛・ヒ素などが含まれていることがあります。これらの物質は、土の粒や鉱物にくっついているため、地中にあるあいだは水にほとんど溶け出しません。
ところが、工事などでこの地層を掘り出すと、様子が変わります。地層に含まれる「黄鉄鉱(おうてっこう)」という鉱物が空気に触れて変化し、まわりの土を酸性に変えてしまうのです。そして、酸性になった土からは、くっついていたカドミウム・鉛・ヒ素などが、雨水に溶け出しやすくなります(※4)。
そのため、トンネル工事や宅地の造成で掘り出した土から、基準を超える重金属が見つかることもあります。
※出典1:環境省 パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」
※出典2:環境省 パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」8 関係資料(特定有害物質の種類)
※出典3:環境省「令和5年度 土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果」(2025年4月)
※出典4:埼玉県環境科学国際センター「沖積堆積物からの重金属類溶出特性の解析」
第3章 土壌汚染は人の体にどう影響する?
土の中に有害物質があっても、それだけですぐに健康に悪い影響が出るわけではありません。影響が出るのは、有害物質が人の体に入る「経路」があるときです(※)。
※出典:環境省 パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」3 土壌汚染のリスク をもとに当社作成
国は、土壌汚染が健康に影響する経路を、次の2つに分けて考えています(※)。
①地下水を通じて:土の有害物質が地下水に溶け出し、その水を井戸などから飲む
②土から直接:子どもが砂場で遊んだ手を口に入れる、風で舞った土が口に入るなど
このほか、汚れた農地で育った作物を通じて、有害物質が体に入るおそれもあります。そのため農地の土については、別の法律で対策がとられています。たとえば、次の第4章で紹介する事例では、井戸水を通じてヒ素を取り込んだ住民に、ふらつきや手足のふるえといった症状が出たと報告されています。
一方で、経路さえ断てば、健康へのリスクは減らせます。土の汚れをなくすことだけが対策ではなく、「体に入る道をふさぐ」ことも対策になるのです。たとえば、汚れた土の上に土を盛って覆ったり、その土地の地下水を飲まないようにしたりする方法があります(※)。
※出典:環境省 パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」3 土壌汚染のリスク
第4章 日本で起きた土壌汚染の事例5選
日本の土壌汚染といえば、学校でも習うイタイイタイ病を思い浮かべる方が多いかもしれません。イタイイタイ病は、富山県の神通川(じんづうがわ)の流域で起きた公害病です。上流の鉱山から出たカドミウムが、川の水や田んぼの土を汚しました。そして、その川の水や、汚れた田んぼでとれた米などを通じて、カドミウムが住民の体に入ったとされています(※1)。
このように、カドミウムなどによる農地の汚染が問題になる中で、1970年には、農地の土を守る「農用地土壌汚染防止法」ができました。この法律にもとづく対策地域73地域のうち、62地域ではすでに対策が終わっています(※2)。
日本では、ほかにも各地で土壌汚染が起きてきました。ここでは、公害が大きな問題になった時代から最近まで、5つの事例を古い順に紹介します。
日本の環境問題がどのように始まり、変わってきたのかは、以下の記事で年表にしています。
4-1 宮崎県高千穂町・土呂久(鉱山から出たヒ素で、住民が慢性中毒に)
鉱山の操業によって、集落の暮らしが長いあいだ脅かされた事例です。
- ・何が起きたか:1920年から、土呂久鉱山でヒ素を含む鉱石を焼いて「亜ヒ酸」をつくる作業が始まりました。その煙や鉱さいで、まわりの土地や水、空気が汚れました(※3)。
- ・被害:1925年には獣医師が、豆類の不作、シイタケが生えない、ミツバチの全滅、牛や馬の死などを報告しています。
- ・その後:1971年に地元の小学校の教師が住民の健康被害を調べて発表。県の調査で、慢性ヒ素中毒と思われる住民が見つかりました(※3、4)。1973年、国は土呂久を公害の地域に指定し、慢性ヒ素中毒症は「第4の公害病」と呼ばれました。
2025年3月時点で、認定された患者は223人にのぼります(※3)。
一方で、土呂久はその後、少しずつ再生してきました。かつて亜ヒ酸の煙で牛や馬が死んだこの土地で、2022年には、土呂久で育った肉牛が和牛の全国大会で内閣総理大臣賞を受けています。
4-2 東京都江東区(有害な六価クロムを含む工場の廃棄物が、地中に大量に埋められていた)
工場から出た廃棄物が、まちの地中に大量に埋められていた事例です。
- ・何が起きたか:1970年代、化学工場から出た「鉱さい」に、有害な六価クロムが含まれていることがわかりました。鉱さいとは、原料の鉱石から必要な成分を取り出したあとに残るかすのことです。この工場ではクロムを含む鉱石を原料にしており、その鉱さいが、江東区の大島地区や江戸川区に埋め立てられていました(※5、6)。
- ・発覚のきっかけ:1973年、東京都が買い取った江東区大島の地下鉄用地などで、大量の鉱さいが見つかりました。1975年には住民団体の発表もあり、問題が大きく広がりました(※5、7)。
- ・その後:東京都の指導のもと、工場を持つ会社が費用を負担して、1980〜2001年に5か所の処理地を設けました。そこで、鉱さいを無害な形に変えて封じ込めています。
処理した鉱さいは、合わせて約42万㎥(※5)。東京ドーム(約124万㎥)のおよそ3分の1にあたる量です。現在、処理地は公園や広場として使われており、東京都が毎年、大気や水の六価クロムを測っています。
4-3 大阪市・大阪アメニティパーク(汚染を知らせないまま、マンションを販売)
住まいを選ぶとき、土地の汚れを知らされないことがあった事例です。
- ・何が起きたか:大阪市内のマンション(大阪アメニティパーク)が、1997〜2002年に販売されました。しかし敷地では、1989〜1990年の調査で、ヒ素などの重金属による土の汚れがわかっていました(※8)。
- ・販売時の状況:汚れた土の一部は残ったままでした。さらに、そのままでは下水に流せない濃さのヒ素やセレンを含む地下水が、地下駐車場に湧き出していました(※8)。
- ・その後:2006年、販売に関わった会社は、敷地の土が汚れていることを購入者に伝えなかったとして、国から処分を受けました。
では、なぜ伝えなかったことが問題になったのでしょうか。国が示した理由は、次のようなものです。
敷地の土の汚れが、住む人の健康に害を与えるおそれのないものだったとしても、購入者は、汚れた土の上に住むことに抵抗を感じるかもしれません。また、マンションの資産価値が下がるおそれもあります。購入者にとっては、知らされないまま買うと、大きな損をしかねない事実です。この事例では、敷地の土壌汚染を購入者に説明しなかったことが問題となり、販売に関わった会社は行政処分を受けました。土壌汚染に関する情報は、購入者が物件を判断するうえで重要な情報となります。
4-4 茨城県神栖市(毎日飲んでいた井戸水から、環境基準の450倍のヒ素化合物)
ふだん飲んでいた井戸水が、土の下の汚染で汚れていた事例です。
- ・何が起きたか:2003年3月、ふらつきや手足のふるえなど、同じような症状が数家族に出ているのを不審に思った医師が、保健所に井戸水の検査を依頼。その結果、飲用の井戸から、環境基準の450倍に相当する濃度の有機ヒ素化合物が検出されました(※9、10)。
- ・原因:検出されたのは、自然界には通常ない「ジフェニルアルシン酸」というヒ素の化合物。旧日本軍の化学兵器に使われた物質の原料でもあります。2005年1月、井戸から約90m離れた地中から、この物質を高い濃度で含むコンクリートのような塊が見つかりました。
- ・健康への影響:ふらつき、手足の動きがうまく合わない、手足のふるえなどの症状が報告されています。
- ・その後:国は、ヒ素を取り込んだことが確認された住民を対象に、医療費の給付や健康診査を続けています(※11)。
土の汚れが地下水を通じて人の体に届くことを、はっきり示した事例です。
4-5 東京都・豊洲市場(ガス工場の跡地から、基準の4万3,000倍のベンゼン)
食べ物を扱う市場の予定地で、土の汚れが見つかった事例です。
- ・何が起きたか:豊洲市場の予定地には、1988年まで都市ガスの製造工場がありました。石炭からガスをつくる過程で、ベンゼンやシアン化合物といった有害物質が生まれ、土や地下水を汚していました(※12)。
- ・調査の結果:東京都の専門家会議が、予定地を10m四方に区切って4,122地点を調べました。その結果、ある1地点の土から、基準の4万3,000倍のベンゼンが見つかりました(※13)。
- ・その後:専門家会議は、土の入れ替えや2.5mの盛土、地下水の浄化・管理などの対策案を示しました。市場はその後、2018年10月に開場しています(※13、14)。
ただし、土のベンゼンが基準を超えていたのは、調べた4,122地点のうち0.8%でした(※13)。一部の高い数字だけを見るのではなく、どこにどれだけ汚れがあり、どう管理されているかを見ることが大切です。
※出典1:富山県「イタイイタイ病とは」
※出典2:環境省「令和6年度農用地土壌汚染防止法の施行状況について」
※出典3:宮崎大学土呂久歴史民俗資料室 川原一之「土呂久公害通史」
※出典4:環境庁『昭和49年版 環境白書』
※出典5:東京都環境局「六価クロム汚染土壌対策」
※出典6:江東区「六価クロム鉱さい問題」
※出典7:江戸川区「六価クロム鉱さいによる汚染土壌」
※出典8:国土交通省「宅地建物取引業者に対する監督処分について」(2006年6月13日)
※出典9:環境省「茨城県神栖市における汚染メカニズム解明のための調査」報告書
※出典10:環境省「ジフェニルアルシン酸等の健康影響に関する調査研究」中間報告書(2008年)
※出典11:環境省「茨城県神栖市における有機ヒ素化合物環境汚染及び健康被害に係る緊急措置事業」
※出典12:東京都中央卸売市場「豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議」第1回(2007年5月)
※出典13:東京都中央卸売市場「豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議」第6回議事概要(2008年5月)
※出典14:東京都観光公式サイトGO TOKYO「豊洲市場」
第5章 土壌汚染を防ぐしくみと、暮らしの中で確かめられること
第4章の事例のような被害を防ぐため、日本では2003年に「土壌汚染対策法」が施行されました。同法に基づいて区域指定された土地は、自治体が作成する台帳で確認できます(※1、土壌汚染が見つかった土地がすべて台帳に掲載されるわけではありません)。
※出典:環境省「土壌汚染対策法のしくみ」をもとに作成
土壌汚染対策法では、次のような場面で、土地の持ち主に土の調査が義務づけられています(※1)。
- ・有害物質使用特定施設の使用を廃止するとき
- ・3,000㎡以上(有害物質使用特定施設が設置されている、または一定の条件に該当する工場・事業場の敷地では900㎡以上)の土地の形質を変更するとき。事前の届出が必要で、都道府県などが汚染のおそれがあると認めた場合には、調査を命じられることがあります。
- ・土壌汚染によって健康被害が生じるおそれがあると、都道府県などが認めたとき
土地の持ち主が土を調べた結果、有害物質の量が国の基準を超えていた場合、その土地は都道府県などによって、2種類の区域のどちらかに指定されます。人の体に入る経路がある土地は「要措置区域」となり、汚染の除去などが必要です。経路がない土地は「形質変更時要届出区域」となり、掘るなどの工事をするときに届出が必要になります(※1)。2024年3月末時点では、要措置区域が294区域、形質変更時要届出区域が3,894区域ありました(※2)。
では、暮らしの中では何ができるのでしょうか。具体的には、次の3つがあります。
・家を建てる・買う前に、土地の記録を確かめる
区域に指定された土地は、都道府県や政令市の台帳で確認できます。不動産会社にも、その土地が以前どのように使われていたかを聞いてみてください。
・井戸水を飲み水に使う場合は、水質検査を受ける
神栖市の事例のように、土の汚れは地下水を通じて体に届くことがあります。井戸水を飲んでいる家庭は、定期的に水質を確かめておくと安心です。
・有害物質を含むごみは、決められた方法で出す
蛍光管や水銀体温計には水銀が含まれています。環境省は、割れないように分けて出すよう呼びかけています。出し方は自治体ごとに違うため、お住まいの地域のルールを確認しましょう(※3)。
使わなくなった電子機器に含まれる金属を回収して、資源として生かす取り組みについては、こちらの記事で紹介しています。
※出典1:環境省 パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」4 土壌汚染対策法の概要
※出典2:環境省「令和5年度 土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果」(2025年4月)
※出典3:環境省「家庭から排出される水銀使用廃製品の分別回収ガイドライン」(2015年12月)
第6章 よくある質問(FAQ)
6-1 土壌汚染は、時間がたてば自然にきれいになる?
A. 有害物質の種類や土壌の状態によって異なります。自然の作用で濃度が低下する場合もありますが、汚染が自然に解消するとは限りません。汚染の状況に応じて、土壌の除去や浄化、封じ込めなどの対策が必要です。実際、江東区の六価クロムの事例では、処理が終わるまでに20年以上かかりました(※1、2)。
6-2 汚れた土は、どうやってきれいにする?
A. 汚れた土を掘り出して処理する「掘削除去」と、その場で薬剤などを使って浄化する「原位置浄化」があります。このほか、汚れた土を囲って広がらないようにする「封じ込め」や、盛土・舗装で覆う方法もあります。2023年度に完了などが報告された対策では、掘削除去が531件と最も多くなっています(※1、3)。
6-3 土壌汚染が見つかった土地には住めない?
A. 汚れが見つかっても、すぐに住めなくなるわけではありません。人の体に入る経路がない「形質変更時要届出区域」は、汚染の除去が求められない区域です。一方、経路がある「要措置区域」は、汚染の除去や封じ込めなどの対策をとる必要があり、対策を終えれば指定が解除されます(※1)。
6-4 日本では、土壌汚染はどのくらい見つかっている?
A. 2023年度に都道府県などが把握した土の調査は2,150件で、そのうち991件で汚染が見つかりました。これまでの累計では、汚染が見つかった件数は1万8,439件にのぼります。多かった物質は、鉛、ふっ素、ヒ素の順でした(※3)。
6-5 土壌汚染と砂漠化は同じ問題?
A. 別の問題です。土壌汚染は、有害な物質で土が汚れることを指します。一方、砂漠化は、乾燥した地域で土地が作物や草を育てる力を失っていくことを指します。砂漠化の原因については、以下の記事で解説しています。
※出典1:環境省 パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」4 土壌汚染対策法の概要
※出典2:東京都環境局「六価クロム汚染土壌対策」
※出典3:環境省「令和5年度 土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果」(2025年4月)
第7章 まとめ
土壌汚染は、工場からの漏れや廃棄物の不適切な処理、自然由来などによって、有害物質が土にたまった状態です。目に見えにくい一方で、地下水や土を通じて人の体に入ることがあります。
神栖市の井戸水や大阪のマンション、豊洲市場の事例は、土の汚れが暮らしのすぐそばにあることを示しています。そして土呂久のように、汚れた土地が長い時間をかけて再生していく例もあります。
まずは、自分が住む地域や、これから住む土地の記録を、自治体の台帳で確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。






